山手トンネル


































































山手トンネル

Shutoko-YamateTunnel.JPG
山手トンネル(内回り西池袋入口付近)

概要
位置
日本の旗 日本・東京都の旗 東京都
座標
北緯35度39分51.9秒
東経139度41分15.5秒
座標: 北緯35度39分51.9秒 東経139度41分15.5秒
現況
供用中
所属路線名
首都高速中央環状線
起点
東京都品川区八潮
終点
東京都豊島区
運用
開通
2015年(平成27年)3月7日(全線開通)
管理
首都高速道路
通行対象
自動車(危険物積載車両は通行禁止)
通行料金
有料
技術情報
全長
18,200 m
道路車線数
両側4車線
設計速度
60km/h
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首都高速C2号標識

山手トンネル(やまてトンネル)は、首都高速道路中央環状線の大井JCT - 高松入口間にある道路トンネルである。


北(高松入口)側から順次開通・延伸され、2015年(平成27年)3月7日の全線開通によって、全長18,200メートル (m) となった。日本一長い道路トンネルであり[1]、道路トンネルとしてはノルウェーにあるラルダールトンネルに次ぎ世界で2番目[2]




目次






  • 1 概要


  • 2 歴史


  • 3 設備


  • 4 ランプ・ジャンクション


  • 5 交差する地下構造物


    • 5.1 都営地下鉄大江戸線との関係




  • 6 主な事故・障害等


  • 7 脚注


  • 8 参考文献


  • 9 関連作品


  • 10 関連項目





概要


首都高速中央環状線のうち、大井JCT - 高松間に位置し、大半の区間で山手通りの地下を通り[3]、大井JCT - 五反田出入口間では目黒川の地下を通る。最深部は南品川換気塔付近で、地表から約55 mの深さになる。約7割の区間がシールド工法で建設されている[3]。内回り・外回り各2車線。


中央環状新宿線の高松側より順次開通した。大橋JCT以北が開通後は、大橋JCT以南の品川線開通まで5年ほど間が空いており、その間、大橋JCT以南は当初より山手トンネルの延伸区間と位置づけられていたものの、新宿線から品川線へと路線が変わることから、別のトンネルとして扱うか一体的に山手トンネルとして扱うかについては未定で、「名称未定」のトンネルとしていたが、最終的に品川線区間も山手トンネルとして扱うことが決定した。これに伴い、2015年3月7日の大井JCTまでの全線開通により関越自動車道の関越トンネル(全長:上り線11,055 m、下り線10,926 m)を抜き、日本最長の道路トンネルとなった。


5,000 mを超える長大トンネルであり、また五反田出入口 - 大井JCT間で目黒川および京浜運河の下を通る水底トンネルであるため[4]、道路法により開通当初から全区間で危険物積載車両の通行が禁止されている。



歴史




  • 1992年 : 着工。


  • 2007年12月1日 : BSデジタル放送局、BS11デジタルの開局記念特番『未来へのトンネル』の会場として使用される。

  • 2007年12月22日 : 西新宿JCT - 熊野町JCT間 開通。


  • 2010年3月28日 : 大橋JCT - 西新宿JCT間 開通。


  • 2015年3月7日 : 大井JCT - 大橋JCT間 開通[5]



設備




消火設備

消火設備

避難通路

避難通路

山手通りの中央分離帯へ脱出

山手通りの中央分離帯へ脱出



地底深くを通る長大トンネルであるため、下記のような防災・環境設備が設けられている。



管制関係

路側帯側に100 m間隔で非常電話が設置され、管制室と連絡を取ることが出来る。また、100 m間隔で監視カメラが設置され、管制室で常時トンネル内の状況を把握している。

消火設備

消火用の水スプリンクラー設備と、赤外線センサーを使用した自動火災検知機が25 m間隔で設置されている。また、消火器・泡消火栓と押ボタン式火災報知器が、路側帯側に50m間隔で設置されている。なお、トンネル上部は摂氏1,200度まで対応できる耐火構造になっている。

避難設備

車道と区切られた避難通路と、350 m以内毎に地上に避難できる非常口が設けられている。

全線の7割にあたるシールドトンネル区間では、円形のトンネルの中央よりやや下に床を造り、走行車線としている。このため、床下の空間が平常時は吸気ダクト、火災発生時には避難通路として用いられる。避難する際は、車道左側の路肩部分の非常口から避難通路へ降りる、らせん状の滑り台を用いる。この構成は、東京湾アクアラインと同一である。火災発生中もこの通路には外部から新鮮な空気が送られており、一旦避難した人がふたたび煙に巻かれないよう考慮されている。

開削区間では、内外のトンネルの間の空間が避難通路となるため、車道右側に非常口が設置されている場合もある。シールド区間からの避難者もこの空間へ到達し、階段を登って地上の山手通りの中央分離帯へ脱出する。

換気設備

山手トンネル内は横流方式を採用している[3]。これは、車道と並行して給気・排気ダクトを設けて、トンネルの各所で同時に換気を行う方法である。これに対し、自動車の流れを利用して進行方向に空気を流し、ある場所で一気に排気する方法は縦流方式と呼ばれ、山手トンネルを出た渋谷以南の区間(中央環状品川線)で採用されている[3]

排気口はトンネル天井部に10 m間隔に、給気口は下部に設置されている。シールド工法区間ではトンネル底部、開削工法区間ではトンネル天井部に排気・給気ダクトを設ける。

換気所は要町・中落合・上落合・東中野・本町・西新宿・代々木・神山町・大橋・中目黒・五反田・南品川・大井北の13か所に設置されており、浮遊粒子状物質 (SPM) を80%以上除去する機能を持った電気集塵機と、二酸化窒素を90%以上除去できる低濃度脱硝装置(松下エコシステムズ製)で浄化処理された排気を、消音装置を通した上で、高さ45 mの排気塔から上空約100 mに放出・拡散する。

換気所で浄化処理された排気は山手通りの空気と比べて充分にクリーンであるため、排気塔を設けなくても大気汚染にはならない。にも関わらず排気塔を設置した理由は、トンネル内の火災発生時には高温の煙をそのまま排気せざるを得ず、地上に排気口を設ければ地上での消火救援活動を阻害するばかりか、沿道にも多大な影響を与えるからである。しかし換気塔は目立つことから、中央環状新宿線の地下化が決定した後も一部沿線住民の反発を招き、威圧感を与えないデザインを考慮することになった。

また夏期にはトンネル内の温度が上昇して40度近くになるケースもあることからドライミスト噴霧装置を数か所に設置し、換気運転とともにトンネル内の温度上昇の抑止に務めている。



ランプ・ジャンクション



  • 西池袋出入口

  • 中野長者橋出入口

  • 西新宿ジャンクション

  • 初台南出入口

  • 富ヶ谷出入口

  • 大橋ジャンクション

  • 五反田出入口


山手通りの中央分離帯に設置するため、五反田出入口を除き右側分合流である。一方、五反田出入口周辺区間では上下線のトンネル同士を立体交差させて位置を入れ替え、トンネルを右側通行としている(対向車線は見えないので、運転手が意識することはない)ので左側分合流になっている。東京外環自動車道東京区間のトンネルも、同様に右側通行とし、左側分合流とする予定である[6]



交差する地下構造物



  • 山手トンネルより下側

    • 東京メトロ有楽町線

    • 東京メトロ副都心線


    • 都営地下鉄大江戸線 - 中井駅北側から西新宿五丁目駅西側にかけ、大江戸線が山手トンネルの下部に並行。



  • 山手トンネルより上側

    • 東京メトロ東西線

    • 東京メトロ丸ノ内線


    • 京王線・京王新線

    • 東急田園都市線

    • 都営地下鉄浅草線

    • 東京臨海高速鉄道りんかい線





都営地下鉄大江戸線との関係


大江戸線は山手トンネル着工前に開業したが、現在は一部区間で並行している。この区間では、下部に大江戸線の単線トンネル2本、上部に山手トンネル2本と、4本のシールドトンネルが並ぶ。また、中井駅と中野坂上駅は駅舎建設時に道路部分も同時建設しており、この区間は開削工法の箱形トンネルであるため、山手トンネルを走行する車からも容易に判別できる。駅部では、山手トンネル両方向の間の部分(中央分離帯に相当する部分)に、下部の大江戸線ホームと上部の改札階を結ぶエスカレーターやエレベーターが設置されている。エスカレーターからは、山手トンネルに相当する高さに、階高が高い部分があることを確認できる。



主な事故・障害等




  • 2016年4月6日 - 外回り西池袋出口付近で、軽自動車がエンジントラブルにより出火。トンネル内に煙が充満し、後続車両の運転手らが避難通路を利用して地上に避難する騒ぎとなった。なお消火、換気が速やかに行われ、出火から2時間半後には通行止めは解除されている[7]


  • 2018年1月22日 - 東京都区部を襲った平成30年豪雪の中、外回り西新宿ジャンクションの上り坂(勾配8%)でタイヤチェーンを装着していたトレーラーが動けなくなり、10時間以上にわたり大渋滞が発生。信号による山手トンネル流入抑止を行わなったため、多くの車両がトンネル内で身動きが取れなくなり、乗員の一部は避難通路と避難階段を使い、地上へ避難した[8]。翌23日、石井啓一国土交通大臣は、閣議後の記者会見の中で他の首都高速道路で起きた滞留事故の検証や対応に言及し[9]、首都高速道路株式会社の社長・宮田年耕が謝罪する事態となった。



脚注


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  1. ^ 浅井建爾 2015, p. 188.


  2. ^ 先端技術紹介 |東京SMOOTH(2013年12月15日時点のアーカイブ)

  3. ^ abcd長田光正、深山大介、下西勝「都市内長大トンネルの概要(首都高速山手トンネルの開通と中央環状品川線の概要)」、『コンクリート工学』第49巻第1号、日本コンクリート工学会、2011年、 79-84頁、 doi:10.3151/coj.49.1_79。


  4. ^ “水底トンネル等における危険物積載車両の通行の禁止または制限について”. 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 (2015年3月6日). 2016年2月16日閲覧。


  5. ^ 中央環状線が全線開通 羽田のアクセス向上 五輪へ都心の渋滞緩和 - 産経ニュース(2015年3月9日時点のアーカイブ)


  6. ^ http://www.ktr.mlit.go.jp/gaikan/pi_kouhou/library2/panfu/200606pdf/06.pdf 頂いたご質問と回答 - 国土交通省 関東地方整備局


  7. ^ 白昼の“脱出劇”をカメラが…首都高トンネル火災 TV朝日(2016年4月6日)2018年1月28日閲覧


  8. ^ 首都高のトンネルで激しい渋滞、約10時間 立往生 TBSニュース(2018年1月23日)2018年1月28日閲覧


  9. ^ 大雪で首都高10時間立往生 なぜ起きた? 国交省が検証指示 NHKニュース(2018年1月23日)2018年1月28日閲覧




参考文献


  • 浅井建爾 『日本の道路がわかる辞典』 日本実業出版社、2015年10月10日、初版。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
    ISBN 978-4-534-05318-3。


関連作品



  • 西澤丞著『首都高山手トンネル』求龍堂、2007年。 ISBN 9784763007254。

  • 松岡圭祐『千里眼の復讐』〈クラシックシリーズ4〉 角川文庫、2008年。 ISBN 9784043836208。



関連項目







  • 延長別トンネルの一覧

  • 延長別日本の交通用トンネルの一覧

  • 延長別日本の道路トンネルの一覧





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