天文学







星空を観察する人々


天文学(てんもんがく、英:astronomy, 独:Astronomie, Sternkunde, 蘭:astronomie (astronomia)[1], sterrenkunde (sterrekunde)[1], 仏:astronomie)は、天体や天文現象など、地球外で生起する自然現象の観測、法則の発見などを行う自然科学の一分野。主に位置天文学・天体力学・天体物理学などが知られている。宇宙を研究対象とする宇宙論(うちゅうろん、英:cosmology)とは深く関連するが、思想哲学を起源とする異なる学問である[2]


天文学は、自然科学として最も早く古代から発達した学問である[3]。先史時代の文化は、古代エジプトの記念碑やヌビアのピラミッドなどの天文遺産を残した。発生間もない文明でも、バビロニアや古代ギリシア、古代中国や古代インドなど、そしてイランやマヤ文明などでも、夜空の入念な観測が行われた。


とはいえ、天文学が現代科学の仲間入りをするためには、望遠鏡の発明が欠かせなかった。歴史的には、天文学の学問領域は位置天文学や天測航法また観測天文学や暦法などと同じく多様なものだが、近年では天文学の専門家とはしばしば天体物理学者と同義と受け止められる[4]


天文学 (astronomy) を、天体の位置と人間界の出来事には関連があるという主張を基盤とする信念体系である占星術 (astrology) と混同しないよう注意が必要である。これらは同じ起源から発達したが、今や完全に異なるものである[5]




目次






  • 1 概説


    • 1.1 位置天文学・天体力学・天体物理学




  • 2 歴史


    • 2.1 科学革命




  • 3 天文学と人々の関係


  • 4 用語


  • 5 天文学の各種分野


    • 5.1 研究対象に基づく分類


    • 5.2 観測媒体による分類


    • 5.3 関連分野


    • 5.4 学際分野




  • 6 脚注


  • 7 参考文献


  • 8 関連文献


  • 9 関連項目


    • 9.1 宇宙の構成要素


    • 9.2 学問分野の構成


    • 9.3 研究の手段


    • 9.4 研究機関及び研究者


    • 9.5 人類の宇宙への挑戦


    • 9.6 その他




  • 10 外部リンク


    • 10.1 天文学活動関連


    • 10.2 天文学資料関連


    • 10.3 教育関連







概説


基本的に天文学は、研究者が対象に直接触ったり取り扱ったりすることができず、また実験を行うことができないものと考えられる。ところが近年は探査機が資料を持ち帰る時代になり、そのため太陽系の天体は純粋な天文学の対象から惑星物理学の領域に移りつつある[6]。この例を除けば、天文学が基本的に用いる手段は電磁波を受信するリモートセンシングが中心となる[6]


天文学の研究には2つの側面がある。宇宙には地球のどんな実験室でも実現が難しい超高温・超高密度の領域がさまざまな所にあり、このような極限状態でも地上の物理法則が適応できる事を確認してその普遍性を検証する点がその第一である。これは惑星運動を物理法則で説明した試みが嚆矢に当たる。もうひとつは人類が宇宙の中でどのような位置づけにあるかを考えることであり、いわゆる宇宙観の形成と言える。大抵の場合、天文学の研究にはこの両者が含まれる[6]



位置天文学・天体力学・天体物理学


一般的に、「天文学」(astronomy) もしくは「天体物理学」 (astrophysics) という単語が使われる[7][8][9]。厳密な辞書的に定義すると、天文学は「地球大気の外にあるモノやコトについての物理・化学的性質に対する研究」であり[10]、天体物理学は「天体や現象のふるまいや物理的性質そして動力学的過程」を取扱う天文学の一分野である[11]。例えば、フランク・シューが著した入門書『The Physical Universe』の導入部には、天文学は対象の質的研究を指し、天体物理学が取り扱う対象は物理学的志向が高いという[12]。しかし、最新の天文学的研究はほとんどが物理学的対象を取扱うようになり、天文学は事実上天体物理学とみなされるようになった[7]。観測天文学のような数少ない分野が、天体物理学よりも純粋な天文学に当る。天体にかかわる研究を行う様々な分野では両方の単語が用いられ、その分野が歴史的に物理学の一部に相当するかによって決まることもある[8]。そして多くの専門的な天文学者は天文学でなく物理学の学位を取得している[9]


位置天文学は天体の位置を、天体力学は天体の運動を研究する学問で、天文学の中でも古典分野とみなされている。



歴史





ドイツの地図製作者フレデリック・デ・ウィット(英語版)17世紀作の天球図


はるか昔、天文学は肉眼による天体の観察と位置の予測だけであった。ときにストーンヘンジのような巨大な人工物がこの目的のために作られることもあり、それは儀式の舞台だけでなく、季節を知り植物の種まきをする時期を定めるために1年の長さを決定する天文台の役割を果たした[13]


望遠鏡が発明される前、初期の研究は肉眼でも見やすいように高い建造物の上や高地のような場所で行われた。文明が発達するとともに、バビロニア・中国・エジプト・ギリシア・インド・中央アメリカなどで天文台が建設され、宇宙の根元についての考察が発展を始めた。ほとんどの初期天文学は、恒星や惑星の位置を記す、現在では位置天文学と呼ばれるものだった。これらの観測から、惑星の挙動に対する最初のアイデアが形成され、宇宙における太陽・月そして地球の根源が哲学的に探求された。地球は宇宙の中心にあり、太陽・月・星々が周囲を廻っていると考えられた。これは、クラウディオス・プトレマイオスから名を取ってプトレマイオス・システム(天動説)と呼ばれる[14]


数学的または科学的な天文学は、初期段階における非常に重要な進展だった。これらはバビロニア人によってもたらされ、後に多くの文明へと展開してゆく天文学の潮流を創り上げたものだった[15]。バビロニアの天文学では、月食が一定の期間で再度起こることをサロス周期として発見した[16]




ギリシアの赤道日時計。紀元前2-3世紀。現在はアフガニスタンのアイ・ハヌムにある。


バビロニアの後、古代ギリシアとヘレニズム世界において天文学はさらに進歩した。ギリシア天文学はその初期段階から、天球における天体の回転運動を物理的に説明すること目指した点を特徴とした[17]。紀元前3世紀、アリスタルコスは地球の大きさと、月や太陽の大きさと距離を計算し、地動説による太陽系モデルを提案した。紀元前2世紀にはヒッパルコスが歳差を発見し、月の大きさと距離を計算し、アストロラーベのような初期の天文学装置を発明した[18]。ヒッパルコスはまた、1020個の星とギリシア神話の神々の名に由来する北半球の星座のほとんどについて、詳細なカタログを作成した[19]。紀元前150-80年頃制作のアンティキティラ島の機械は、特定の日における太陽や月および星々の場所を計算するよう設計された、初期のアナログ計算機である。ヨーロッパにおいて、これに匹敵する制作技術の再興は14世紀の機械式天文時計の登場を待たなければならなかった[20]


中世の時代、天文学は少なくとも13世紀になるまでヨーロッパでは停滞し、替わってイスラム世界など他の地域で発展した。イスラムでは、9世紀初頭までに建設された最初の天文台が寄与した[21][22][23]。964年にはアブドゥル・ラフマーン・スーフィーによって局部銀河群最大の銀河であるアンドロメダ銀河が天の川の中から発見され、著作『星座の書(英語版)』に記録された[24]。1006年、非常に明るい等級で輝いた超新星SN 1006は、エジプトのアラビア人天文学者アリ・イブン・リドワンや、中国の天文学者らによって記録された。バッターニー、サービト・イブン・クッラ、アブドゥル・ラフマーン・スーフィー、アブー・マアシャル、アブー・ライハーン・ビールーニー、ザルカーリー、ビールジャンディー(英語版)らイスラム世界の天文学者(ほとんどがペルシャやアラブ人)や、マラーゲ天文台(英語版)、ウルグ・ベク天文台などは、科学の発展に大きく寄与した。彼らが用いた星の名は、おおくが現在に引き継がれている[25][26]


これらの他にも、グレート・ジンバブエ遺跡やトンブクトゥに[27]天体観察をする建物があったという推察もある[28]。以前、ヨーロッパ人は植民地化される前のブラックアフリカでは天文観察は行われなかったと考えていたが、近年の発見はこの思い込みを覆しつつある[29][30][31]



科学革命





ガリレオ・ガリレイが観察し描いたスケッチは、月の表面に山脈があることを明らかにした。





スペースシャトル ディスカバリー号から見たハッブル宇宙望遠鏡


ルネサンス期、ニコラウス・コペルニクスは地動説による太陽系を提唱した。彼の説はガリレオ・ガリレイとヨハネス・ケプラーの支持を得た。ガリレオは望遠鏡を使う事で観測に革新をもたらした[32]


ケプラーは初めて太陽を中心とした惑星の各運動について、その詳細を説明することに挑んだが、理論を構築するまでには至らなかった[33]。これは、アイザック・ニュートンが天体力学と重力の法則を導き出し、最終的に成立した。ニュートンはまた反射望遠鏡も発明した[32]


さらなる発見には、望遠鏡の大きさと性能の向上が寄与した。大規模な星の一覧はニコラ・ルイ・ド・ラカーユが作成した。ウィリアム・ハーシェルは星雲と星団の詳細な一覧を纏め上げ、1781年には天王星新発見を成し遂げた。[34]。初めて星までの距離測定は、1839年にフリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセルが視差を用いてはくちょう座61番星までの距離を求めたことに遡る[35]。18-19世紀には、レオンハルト・オイラー、アレクシス・クレロー、ジャン・ル・ロン・ダランベールが三体問題へ取り組み、月や惑星の動きに関する予測精度が増した。この仕事はジョゼフ=ルイ・ラグランジュとピエール=シモン・ラプラスによってより洗練され、月や惑星の摂動からこれらの質量を計算可能とした[36]


分光器と写真など新技術の導入によって、天文学はさらなる大幅な進歩を遂げた。1814-15年にヨゼフ・フォン・フラウンホーファーは、分光した太陽光線の中に約600の帯を発見し、1859年にはグスタフ・キルヒホフによってこれらから異なる元素が存在することを説明した。夜空の星々が太陽と同じ恒星であることも明らかになったが、それらの温度や質量そして大きさは広い範囲に分布する事も分かった[25]。こうした分光学の発展は、のちに天体物理学へと発展する基礎となった。


地球が存在する天の川銀河が、他から切り離されたある星の集団ということが判明したのは1924年のエドウィン・ハッブルによってであり、その外には無数の銀河が存在すること、そして1929年には同じくハッブルによって宇宙が膨張していることが次々と分かり、人類の宇宙に対する認識がどんどん変革した[37]。1958年にはヤン・オールトによって、天の川銀河が渦巻き状をしていることが判明した[38]


1957年にはスプートニク1号が人類史上はじめて宇宙へと打ち上げられた人工衛星となり、これ以降人類は大気圏外の事象を直接観測する手段を手に入れた。こののちアメリカ合衆国とソヴィエト連邦によって宇宙開発競争がはじまり、1960年代から1970年代にかけては両国の人工衛星が続々と打ち上げられ、宇宙空間の知見が急速に集積した。1959年にはソヴィエトがルナ1号によって月探査を初めて成功させ、ついでアメリカのマリナー計画やソヴィエトのベネラ計画、マルス計画などによって内太陽系の調査は徐々に進んでいった。外太陽系も、1973年にはパイオニア10号が木星を初探査、1979年にはパイオニア11号が土星を初探査した。1977年に打ち上げられたボイジャー2号は1986年に天王星、1989年に海王星を初探査し、この両惑星における貴重なデータをもたらした。1990年には初の地球大気圏外の望遠鏡としてハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げられ、これにより地上での観測よりもはるかに詳細なデータの入手が可能になった[39]



天文学と人々の関係


天文学は、数ある科学のなかでもアマチュアが活発に活動している数少ない分野である。特定の天体を追跡したり、彗星や小惑星などの新たな星を発見するといった、様々な形でアマチュアによる活動が行われており、プロの研究者へのフィードバックや連携活動も珍しくない。なかでももっともアマチュア天文家の活躍した分野は彗星の発見であり、コメットハンターと呼ばれる熱心なアマチュア天文家の手によって多くの彗星が発見されたが、1995年の地球近傍小惑星追跡(NEAT)や1998年以降のリンカーン地球近傍小惑星探査(LINEAR)といった自動捜索プロジェクトの始動によって目視による彗星発見は激減し、かわってインターネット上などで公開されたデータをもとに彗星を発見する方法が主流となった。その後もアマチュア天文家が大きな発見をするケースは多く、2012年には4つの太陽を持つ惑星がアマチュア天文家と天文学者のチームによって発見された[40]



用語



astronom-

ヨーロッパの言語に見られる astronom- (例えば、英語の astronomy)は、古フランス語 astronomie、ラテン語 astronomia を中立ちとして、ギリシア語 άστρονομία (astronomía) に遡る。άστρονομία は、「星」を意味する άστρων (astrōn) と「法則」を意味する νόμος (nómos)[41] との複合語である[42][43]



天文

中国や日本で使われていた、漢語としての「天文」という言葉には、古くから陰陽道や暦学など天体の動きの変化から未来を予測する占い分野で用いられてきたという迷信的な側面があった[44]天文道暦道)。江戸期に洋学が盛んになると、オランダ語の sterre(n)kunde の訳語として暦学[45]星学[46]が用いられた。明治期になると、英語の astronomy やドイツ語の Astronomie の訳語として「星学」が採用された。1878年には、東京帝国大学に「星学科」が設立された。大正期になると、研究対象が星のみならず宇宙空間やその他の事象にも及ぶことから、「天文学科」と改称された。ここで「天文学」が見えるが、誰がどのような理由で制定したのかわかっていない。これと同時期の1921年には、関西の京都帝国大学では新しい astrophysics を講義すると言うことで、新城新蔵の提案でその訳語から「宇宙物理学教室」が設立された[47][48]。そのため、現在でも京都大学出身の天文学者は肩書きとして「宇宙物理学者」を使用している。ただし、astrophysics は現在では天体物理学と訳されている[49]。なお、天文学の分野以外ではしばしば「天文物理学」という表現が見られるが、そのような分野は存在しない[48]

また、明確な定義はないが、主に探査機によって得られたデータを用いる分野を宇宙科学と呼ぶこともある[48][50]

今日では、「天文」と言えば本来の迷信的要素は忘れられ、東洋天文学史を除いては専ら自然科学としての天文学を指している。


江戸幕府によって設置されていた観象台は、現在の気象台と国立天文台を併せ持つ機関として運営が行われていた。その目的は、暦の編纂、気象観測などを行うことであった。



天文学の各種分野


天文学は、天文現象へのアプローチの仕方によって大ざっぱにいって、観測天文学と理論天文学に分けることができる。観測天文学では、天体の現象を観測し、膨大なデータを収集する。理論天文学では、それらの現象を説明するモデルや理論、原理などを発見したり、作り出したりする。1980年代以降、大学や研究所の大型計算機センターに設置されたスーパーコンピュータを用いて、惑星や銀河の生成理論などにおいてはコンピュータによるシミュレーション実験も多用される。近年は、シミュレータそのものの専用計算機が開発され、多くの研究室で実験に供されるようになってきている。


より一般的には、それぞれの研究者の扱う研究対象や手法によって分野が分けられる。たとえば、銀河の挙動を中心に研究する銀河天文学など宇宙の特定の天体を扱うもの、宇宙論や星形成論など特定の問題を扱うもの、電波天文学や光赤外天文学など天体を観測する手法による分類などができる。



研究対象に基づく分類




  • 暦 - 位置天文学 - 天体力学


  • 宇宙論 - 天体物理学


  • 銀河 - 銀河天文学 - 銀河進化論 - 銀河形成論


  • 恒星 - 恒星天文学 - 恒星物理学 - 恒星進化論 - 星形成論


  • 星雲・星団 - 星間物理学


  • 惑星 - 惑星科学 - 惑星物理学 - 惑星形成論


  • 地球 - 地球物理学 - 地球化学


本分類は、歴史的発展に基づき作成したものである。天文学分野で最初に研究が行われたのは、暦を研究する暦学であり、そこから、海上を移動する際に現在位置を知るために発展した位置天文学へと繋がる。そして、その位置天文学に基づく観測の結果から天体力学へと発展を遂げたものである。また、宇宙論は、神話や宗教等によって、それらは様々な伝承などの形で現在に至っている。宇宙論が、きちんと物理学的に探求されるようになったのは、近代に入ってからである。その他の、観測分野にしても同様であり、天体観測が系統的に行われるようになってからのことである。


本分類は、観測対象=研究対象という意味もある。暦の場合には、地球の自転についての研究である。そこから発展する形で、惑星運動の研究が行われた(ケプラーの法則)。宇宙論に関しては、仮説から観測によって、ビッグバン宇宙論が確立し現在に至っている。銀河の観測については、彗星ハンターと呼ばれる人々によって開始され、大型の観測装置が設置されることになってから詳しく研究が行われるようになったものである(シャルル・メシエ、ウィリアム・ハーシェル)。最後に地球に関しては、様々な神話の時代から探求が行われ、地上で起こる現象や地理学的な知見によって、地球物理学が発展してきたものである(関連項目:地震学)。地球化学に関しては、地球全体における化学的収支を明らかにするために、研究が行われている分野である(関連項目:環境問題)。


このように、地球-地球・月系-太陽系-銀河系-宇宙の大規模構造-宇宙誕生そして進化にいたる、幅広い研究領域を扱う学問である。



観測媒体による分類


電磁波を用いる天文学
天文学では、天体などの基本的情報を可視光線や、より多くを電磁波から得る[51]。一般に温度(エネルギー)の高い物体からは波長の短い電磁波が放射されるので、短い波長を用いれば、エネルギーの高い天体現象を観測することができる。天文学を以下に波長によって分類する。なお、宇宙膨張に伴い、宇宙誕生初期に発生した光などは、より長い波長の光や赤外線、サブミリ波で観測される(関連項目:ドップラー効果)。恒星や惑星、衛星や星間ダストの出す放射スペクトルは、一般に黒体輻射の法則に従う(関連項目:ボルツマン定数)。



  • 電波天文学

  • 赤外線天文学

  • 可視光天文学

  • 紫外線天文学

  • X線天文学

  • ガンマ線天文学


電磁波以外の媒体を用いる天文学




  • ニュートリノ天文学 (2007年までにニュートリノで観測された天体は太陽とSN 1987Aの2天体のみ)


  • 重力波天文学 (2016年2月、重力波がもたらす時空の歪みを測定する事により、連星ブラックホールを観測している)[52]


コンピュータ機器を用いる天文学



  • シミュレーション天文学(観測媒体というより、物理学現象による小宇宙を電算機内に構築し、シミュレーションによって検証する天文学)


関連分野




  • 宇宙化学 - 大型望遠鏡によって発展してきた分光学を支える学問分野。暗黒星雲内の化学研究や惑星探査機による惑星大気観測などの研究が行われている。


  • 宇宙医学 - 宇宙飛行士による、長期滞在実験(ソユーズ計画、スカイラブ計画、サリュート計画、ミール計画、スペースシャトル計画、国際宇宙ステーション(ISS))によって、現在も研究が進められている。この目的は、当面は月への恒久基地建設に伴う長期滞在、火星への有人探査計画であるが、将来的には人類の宇宙活動が、生産や居住等にまで拡大した時代を見越して研究が進められている。


  • 宇宙生物学 - アストロバイオロジーともいう。比較的新しい分野であるが、地球以外の星に生命が存在する可能性の研究や、宇宙由来のたんぱく質やDNA(まだ見つかっていない)等の研究を行う分野である。



学際分野


以上、通例、単に天文学と言えば数理天文学のことを指すが、学際的な分野、文科的 (cultural) な分野、史的 (historical) な分野も存在する。こうした文科的・史的天文学は、数理天文学に対して天文学の傍径 (byway astronomy) と扱われており[53]、占星術や天文考古学、天文民俗学のように、数理天文学者からは疑似科学とみなされている分野もある[54]



  • 宇宙形状論 (cosmography)


  • 古天文学 (palaeoastronomy)

  • 星座の記述 (uranography)


  • 星図の作成 (celestial cartography)

  • 星名の研究 (astronymy)


  • 占星術 (astrology)


  • 天文学史 (history of astronomy)


  • 天文考古学 (archaeoastronomy)


  • 天文民俗学 (astronomical folklore)



脚注




  1. ^ abカッコ内は『ラランデ歴書』のオランダ語訳本の書名に見られる綴り。


  2. ^ Unsöld; Baschek (2001). “Introduction”. p. 1. 


  3. ^ 岩波書店『広辞苑』


  4. ^ Unsöld; Baschek (2001). “I. Classical Astronomy and the Solar System”. pp. 6–9. 


  5. ^ Unsöld, Albrecht; Baschek, Bodo; Brewer, W.D. (translator) (2001). The New Cosmos: An Introduction to Astronomy and Astrophysics. Berlin, New York: Springer. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
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  36. ^ Forbes, 1909, pp. 74–76


  37. ^ Belkora, Leila (2003). Minding the heavens: the story of our discovery of the Milky Way. CRC Press. pp. 1–14.
    ISBN 978-0-7503-0730-7. http://books.google.com/?id=qBM-wez94WwC&printsec=frontcover.
     



  38. ^ 「Newton別冊 現代の宇宙像はこうして創られた 天文学躍進の400年」p50 ニュートンプレス 2009年5月15日発行


  39. ^ http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/hubble_space_telescope.html 「ハッブル宇宙望遠鏡」JAXA宇宙情報センター 2015年9月17日閲覧


  40. ^ http://www.afpbb.com/articles/-/2907768 『「4つの太陽を持つ惑星」、アマチュア天文家が発見』AFPBB 2012年10月16日 2015年9月17日閲覧


  41. ^ νομός (nomós) とは別語。なお、その語源となった動詞 νέμειν (némein) に「命名する」という意味はない。


  42. ^ 小稲義男(編代) 『研究社 英和大辞典』(第5版)、研究社、1980年、131, 1437頁。


  43. ^ 中山茂 『天の科学史』 朝日新聞社〈朝日選書 263〉、1984年、58頁。


  44. ^ ibid., 25-26頁。


  45. ^ 例えば、梅文鼎 撰 『暦学疑問』京都梶川利助等、1820年(文政3年)。


  46. ^ 例えば、渋川景佑 編 『星学手簡』1795-1803年(寛政7-享和3年)。


  47. ^ 中山茂 『天の科学史』 朝日新聞社〈朝日選書 263〉、1984年、26頁。

  48. ^ abc福江純 『そこが知りたい☆天文学』 日本評論社〈シリーズ 大人のための科学〉、2008年、5-6頁。


  49. ^ 文部省、日本天文学会 編 『学術用語集 天文学編』(増訂版)丸善、1994年、126、158頁。


  50. ^ 尾崎洋二 『宇宙科学入門』 東京大学出版会、1996年。


  51. ^ “Electromagnetic Spectrum”. NASA. 2006年9月5日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2006年9月8日閲覧。


  52. ^ 重力波の初の直接検出とその意義 日本物理学会


  53. ^ 草下英明 「はしがき」『星の百科』 社会思想社〈教養文庫 734〉、1971年、3頁。


  54. ^ 例えば、中山茂 『天の科学史』 朝日新聞社〈朝日選書 263〉、1984年、12-24頁。




参考文献


  • 編:岡村定矩 『天文学への招待』 朝倉書店、2001年。
    ISBN 4-254-15016-4。


関連文献



  • 『天文学の歴史』 アーサー・C・クラーク(序文執筆) ヘザー・クーパー(著)


  • Forbes, George (1909). History of Astronomy. London: Plain Label Books.
    ISBN 1-60303-159-6. http://books.google.com/books?id=hcLXcpUDqPgC&printsec=frontcover.
     



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