CANDU炉










CANDU炉の模式図。一次冷却水系は黄色と橙色、二次冷却水系は赤色と青色で描かれている。減速用の重水はピンク色





















1
燃料集合体
8 燃料交換機
2 カランドリア(原子炉圧力容器) 9
重水(減速材)
3
制御棒
10 圧力管
4 加圧器 11
蒸気
5
蒸気発生器
12 低温の二次冷却水
6
給水ポンプ
13
コンクリート製放射線遮蔽
7 再循環ポンプ



CANDU炉(英語: CANDU reactor)とは、中性子の減速及び燃料の冷却に、主に重水を使用することを特徴とする原子炉のことである。減速材に重水を使用することから重水炉に分類される。CANDUとはCanadian deuterium uraniumの略である。1960年代にカナダ政府と民間企業との合弁企業によって設計された。




目次






  • 1 沿革


  • 2 特徴


  • 3 問題


  • 4 兄弟炉


  • 5 稼働中の炉


    • 5.1 ダグラスポイント


    • 5.2 ピカリング




  • 6 この炉を採用している発電所


  • 7 日本への導入検討経緯


  • 8 脚注


  • 9 関連項目


  • 10 外部リンク





沿革




  • 1944年 チョークリバー研究所(ディープリバー)に重水炉建設プロジェクト発足。


  • 1962年 原型炉NPD(英語版) (Nuclear Power Demonstration) 完成。


  • 1968年 ダグラスポイント発電所にて営業運転開始。


  • 1983年 大韓民国・月城原子力発電所にて営業運転開始。


  • 2002年 中華人民共和国・秦山原子力発電所にて営業運転開始。



特徴




CANDU炉で使用される燃料集合体。長さ50cm、直径10cmほどの大きさである。



  • 中性子の減速に重水を使用する


  • 天然ウランが使用できるため、ウラン濃縮の必要性がない
    • この点は、ウラン資源が豊富なカナダにおいては、特に利点となる



  • ウランがない場合はトリウムから資源を得る事ができる

  • 天然ウランから効率的にプルトニウムを生産できる
    • そのため原爆用プルトニウムの生産に使われたこともある(1974年のインドの核実験)




問題



  • 重水を使用している為、トリチウムができてしまう。

  • 大量の重水を使用するため、その調達にかかるコストが高い。



兄弟炉



  • ふげん(日本) - 重水減速沸騰軽水冷却型、CANDU-B炉


稼働中の炉


  • 2002年1月現在、世界の32炉/438炉がCANDU炉


ダグラスポイント


ダグラスポイント発電所はCANDU炉仕様の原型炉一基を運転していたがすでに閉鎖された。



  • 炉型式:重水減速加圧重水冷却炉(圧力管型)

  • 熱出力:70.1万kW (701 MW)

  • 電気出力:22.0万kW (220 MW)

  • 燃料の種類:二酸化ウラン

  • 燃料温度(被覆材・燃料):301℃・1,930℃

  • 冷却材圧力:87気圧



ピカリング


ピカリング発電所はCANDU炉仕様の商用炉4基を1ユニットとしAとBの二つのユニットを運転していた。2015年現在、ピカリング Aの2号機・3号機は燃料が抜き取られ停止中である(ただし廃炉ではない)。



  • 炉型式:重水減速重水冷却炉(圧力管型)

  • 熱出力:174.4万kW (1.744 GW)

  • 電気出力:54.0万kW (540 MW)

  • 燃料の種類:二酸化ウラン

  • 燃料温度(被覆材・燃料):304℃・2,000℃

  • 冷却材圧力:88.5気圧



この炉を採用している発電所




  • カナダ:ブルース、ダーリントン


  • インド:ラージャスターン


  • アルゼンチン:エンバルセ


  • 中国:秦山3


  • 韓国:月城1-4号機


  • ルーマニア:チェルナボーダ


  • パキスタン:カラチ



日本への導入検討経緯


1976年、電源開発株式会社がカナダへCANDU炉の視察団を派遣、通産省もCANDU炉を念頭に置いた発電用新型炉等実用化調査委員会を発足。さらに原子力委員会の新型動力炉開発専門部会にてCANDU炉に関心が示されるなど、CANDU炉の日本導入が検討され始めた。しかしながら1979年、原子力委員会はCANDU炉について、




  • 耐震性を考慮した改造を行う必要性


  • 使用済み核燃料が多くなり、再処理経費が多く掛かること

  • 資金、人材の分散を避ける必要性


を理由にあげ、現段階で積極的理由がないと結論付けたことから、導入議論は一気に下火となった[1]



脚注




  1. ^ 電源開発株式会社 『電源開発30年史』 電源開発株式会社、1984年、p457-458。



関連項目







  • 原子炉

  • 原子力発電



外部リンク




  • カナダ型重水炉(CANDU) (02-01-01-05) ATOMICAより


  • CANDU炉群 (英語)









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