重賞
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重賞(じゅうしょう)とは競馬の競走のなかの目玉となる大きな競走である。重賞の開催は事前から告知を行い有力馬を集め、多くの観客を集めるための看板となる競走である。
目次
1 解説
1.1 リステッド競走
1.2 日本における「重賞」
2 日本競馬関連の重賞に関する記録
3 脚注・出典
3.1 注釈
3.2 出典
4 関連項目
解説
重賞の語源は英語のパターンレース(pattern race)から来ている。パターンレースとは「毎年一定の時期に一定の条件で繰り返し行われる競走」のことで、18世紀のイギリスで始まった。それ以前は競馬の競走は開催直前まで条件が確定されないことが常であったが、パターンレースが広まることによって有力馬が目標を持って調整を行うことが可能となった。「重賞」という語は、このパターンレースの「回を重ねて賞を行う」点を採って意訳したものとされる。もちろん「重要な賞」であることに疑いはないが、patternという語に「重要な」という意味はない。
リステッド競走
- 詳細はリステッド競走参照。
国際セリ名簿基準委員会(ICSC)によってパターンレースとして認知された競走は、ICSCが毎年作成する全世界の競走リストに掲載される。これらのうち、一定の水準以上のレベルに達しているものがG1からG3に格付され、残ったものはリステッド競走(Listed races、L)と呼ばれる。
リステッド競走を含め、この競走リストに掲載された競走は、国際的な競走馬の取引において、競走馬や種牡馬の戦績を表すために用いることが公認される。ブラックタイプ方式と呼ばれるセリ名簿の表示基準では、この競走リストに掲載された競走しか表示が認められず、またグループ・グレードに応じて、より目立つ字体の使用がゆるされる。
一般にICSCの求める要件として、その競走が国際的にみて出走が自由であるという条件がある。この条件をクリアできなければ、どれほど賞金が高くてもG3以上の格付けを得るのは困難である。かつて賞金が世界トップレベルだったジャパンカップもこのために格付を得るには長い年月を要した。イギリスをはじめ多くの競馬開催国では、出走できる要件に年齢・性別以外の条件を付している競走があり、生産国や生産地、取引様態(特定のセリ市で売買された競走馬しか出走できないもの)などの制約がある場合には、リステッド競走どまりである。しかし、こうした競走でも、賞金がG1より高額だったりするものもあり、必ずしもICSCの認定格付けと、その競走のレベルの高さが一致するものではない。
日本(中央競馬)においてはリステッド競走の格付けは長らく行われて来なかったが、2019年より「オープン競走の中で質の高い競走」について、「競走体系上および生産の指標としてグレード競走に次ぐ重要な競走であることを明示する」ため、新たにリステッド競走(L)とすることを決定している。なお、リステッド競走の格付け認定は日本グレード格付け管理委員会において審査・承認が行われる[1]。
なお、日本では、リステッド競走を重賞に次ぐ競走として扱い、重賞には含まない。しかし、重賞を本来の「パターンレース」と解釈するならば、当然、リステッド競走も重賞に含まれる。
日本における「重賞」
日本では、古い時代には「重要な競走」を表す用語としては、「特別競走」や「大競走」が用いられてきた。中央競馬では1990年代まで4歳牝馬特別(現在のフィリーズレビューやフローラステークス)や阪神牝馬特別(現在の阪神牝馬ステークス)などのように、「特別」という名称がつく「重賞」競走があった。地方競馬ではプリンセス特別のように、「特別」という名がつく重賞競走が現存する。
日本でも重賞のスケジュールは年度ごとの発表であり、なおかつ頻繁な条件の変更は行われないのに対し、一般競走・特別競走の番組が一部をのぞいて中央競馬では年3回、地方競馬では当該開催の直前に所属馬の動向に鑑みて発表されることから「重賞はパターンレースの一種」であるということは間違いない。
重賞に対応する言葉としてグレード競走(グループ競走)という表現が用いられることも多いが、日本にはグレードなどの格付けのない重賞も地方競馬を中心に多数存在する[注 1]。準重賞は地方競馬では現在も用いられている。なお、2019年度から中央競馬においても、上記の通り『リステッド競争(L格付け)』を定めることが決まっている。
中央競馬では、降雪などにより出馬投票後に芝コースからダートコースに馬場変更となった場合には重賞競走のままであるが格付けは設定されない。最近ではエルコンドルパサーが勝利した1998年の共同通信杯4歳ステークスがこれにあたり、降雪で本来の芝1800メートルからダート1600メートルに変更となったため格付け(JRAGIII)が外された。この取り扱いは1984年2月4日から実施されているものであり[2]、それ以前に芝コースからダートコースに変更された4競走(アメリカジョッキークラブカップ、日経新春杯、中日新聞杯、京都牝馬特別)については当初の格付けのまま施行されている。
競馬中継などで出演者が単に「重賞」と言った場合はGII・GIIIの競走を指していることが多い。
日本競馬関連の重賞に関する記録
便宜上、以下、中央競馬施行の重賞は「中央」、地方競馬施行の統一重賞は「統一」、地方競馬施行の統一重賞でない重賞は「地方」、ここまでの総称は「日本」、外国競馬施行の重賞は「外国」ないし具体的な国名で表す。
通算重賞勝利数 | ||
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19勝 | スマートファルコン | 統一19勝 |
17勝 | オグリキャップ | 中央12勝 地方5勝 |
ブライアンズロマン | 統一1勝 地方16勝 | |
15勝 | トウケイニセイ | 地方15勝 |
14勝 | アブクマポーロ | 中央1勝 統一9勝 地方4勝 |
メイセイオペラ | 中央1勝 統一3勝 地方10勝 | |
スズノキャスター | 地方14勝 | |
ホッコータルマエ | 中央3勝 統一11勝 | |
13勝 | ホクトベガ | 中央4勝 統一9勝 |
ケイエスヨシゼン | 地方13勝 | |
ロードバクシン | ||
ヴァーミリアン | 中央3勝 統一10勝 | |
マルヨフェニックス | 地方13勝 | |
ヒシウォーシイ | ||
12勝 | スピードシンボリ | 中央12勝 |
テイエムオペラオー | ||
コパノリッキー | 中央3勝 統一9勝 | |
ナイキアディライト | 統一2勝 地方10勝 | |
マリンレオ | 地方12勝 | |
ローゼンホーマ | ||
ワシュウジョージ |
外国調教馬日本重賞勝利数 | ||
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3勝 | カラジ | 障害競走 |
2勝 | ハートレイク | |
スノーフェアリー |
年間重賞勝利数 | |||
---|---|---|---|
8勝 | オグリキャップ | 1988年 | 中央7勝 地方1勝 |
ホクトベガ | 1996年 | 中央1勝 統一7勝 | |
アブクマポーロ | 1998年 | 統一6勝 地方2勝 | |
テイエムオペラオー | 2000年 | 中央8勝 | |
エレーヌ | 2010年 | 地方8勝 | |
7勝 | ブライアンズロマン | 1998年 | 統一1勝 地方6勝 |
マリンレオ | 2002年 | 地方7勝 | |
ヒシウォーシイ | 2010年 |
重賞連続勝利数 | ||
---|---|---|
11連勝 | オグリキャップ | 中央6勝 地方5勝 重賞以外での勝利を挟む |
9連勝 | スマートファルコン | 統一9勝 |
マリンレオ | 地方9勝 重賞以外での勝利を挟む | |
ヒシウォーシイ | ||
8連勝 | タイキシャトル | 外国1勝 中央7勝 |
テイエムオペラオー | 中央8勝 | |
7連勝 | ホクトベガ | 中央1勝 統一6勝 |
重賞連続連対数 | ||
---|---|---|
16連続 | トウケイニセイ | 地方16回 重賞以外での連対を挟む |
15連続 | ローゼンホーマ | 地方15回 重賞以外での連対を挟む |
12連続 | オグリキャップ | 中央7回 地方5回 重賞以外での連対を挟む |
ビワハヤヒデ | 中央12回 重賞以外での連対を挟む | |
ナムラダイキチ | 統一1回 地方11回 重賞以外での連対を挟む | |
11連続 | スマートファルコン | 統一11回 重賞以外での連対を挟む |
10連続 | ヒシアマゾン | 中央10回 |
ダイワスカーレット |
同一重賞勝利数 | ||
---|---|---|
平地競走 | ||
6勝 | シバフイルドー | クイーンカップ(地方) 6連覇 |
4勝 | ブライアンズロマン | とちぎ大賞典(地方) 4連覇 |
オースミダイナー | 瑞穂賞(地方) 4連覇 | |
キングスゾーン | マイル争覇(地方) 4連覇 | |
コウエイトライ | 阪神ジャンプステークス 3連覇 | |
フジノウェーブ | 東京スプリング盃(地方) 4連覇 | |
ナイキマドリード | 船橋記念(地方) 4連覇 | |
3勝 | セカイオー | 鳴尾記念 3連覇 |
シゲルホームラン | セイユウ記念 3連覇 | |
アドマイヤドン | JBCクラシック 3連覇 | |
タップダンスシチー | 金鯱賞 3連覇 | |
カラジ | 中山グランドジャンプ 3連覇 | |
エリモハリアー | 函館記念 3連覇 | |
ブルーコンコルド | マイルチャンピオンシップ南部杯 3連覇 | |
マツリダゴッホ | オールカマー 3連覇 | |
ヴァーミリアン | JBCクラシック 3連覇 | |
ラヴェリータ | スパーキングレディーカップ 3連覇 | |
セイクリムズン | 黒船賞 3連覇 | |
ゴールドシップ | 阪神大賞典 3連覇 | |
ホッコータルマエ | 川崎記念 3連覇 | |
ロゾヴァドリナ | 岩手県知事杯OROカップ 3連覇 | |
コパノリッキー | かしわ記念 2連覇 | |
クリソライト | ダイオライト記念 3連覇 | |
アルバート | ステイヤーズステークス 3連覇 | |
障害競走 | ||
5勝 | バローネターフ | 中山大障害 秋施行分3連覇含む |
4勝 | フジノオー | 中山大障害 4連覇 |
グランドマーチス |
同一重賞連対数 | ||
---|---|---|
6連対 | シバフイルドー | クイーンカップ(地方) 6連続 |
ブライアンズロマン | とちぎ大賞典(地方) 6連続 | |
5連対 | メルシーエイタイム | 中山大障害 5連続 |
クーリンガー | 佐賀記念 | |
年間複数施行重賞限定記録 | ||
7連対 | バローネターフ | 中山大障害 6連続 |
5連対 | フジノオー | 中山大障害 5連続 |
グランドマーチス |
重賞レースの最多出走記録(1973年以降) |
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トウホクビジン(130回)[3] |
以上のほか2018年4月時点で継続中の記録としてオジュウチョウサンによるジャンプグレード制(JRAの独自グレード)導入以降では初となるJ-GI競走2シーズン連続春秋2冠(中山グランドジャンプと中山大障害。中山グランドジャンプはカラジ以来2頭目の3連覇も達成)を含む中央競馬の障害重賞9連勝(平地・障害を通じて中央競馬のみで達成した記録としてはテイエムオペラオーの重賞連勝記録を更新中)およびJ-GI 5連勝がある。
脚注・出典
注釈
^ 中央競馬では平地競走は1984年、障害競走も1999年からすべての重賞競走に格付けがなされ、格付けのなかったアングロアラブ系競走は1995年に廃止されたため、しばらく全重賞に格付けがなされていた(芝コースからダートコースに馬場変更となったために格付けがはずされたレースを除く)。2009年より施行されたレパードステークスは創設から2年は格付けを行わない事が決まっていたため、グレード制が導入されてから初めて格付けなしの重賞となった(2011年にGIIIに格付け)。
出典
^ 一部オープン競走のリステッド格付けについて - 日本中央競馬会(JRA)ホームページ(ニュースリリース)2018年3月5日
^ 『優駿』(日本中央競馬会)1984年3月号、p161
^ トウホクビジンが9日ラストラン - 西日本新聞、2015年1月16日閲覧
関連項目
- 競馬の競走格付け
- 日本グレード格付け管理委員会
- ダートグレード競走