国立天文台

































































国立天文台

NAOJ mitaka.jpg
国立天文台 三鷹キャンパス(東京都三鷹市)


NAOJ nobeyama.jpg

野辺山宇宙電波観測所(長野県南佐久郡)

正式名称
国立天文台
英語名称
National Astronomical Observatory of Japan
略称
NAOJ
組織形態
大学共同利用機関
所在地
日本の旗 日本
181-8588
東京都三鷹市大沢2-21-1
北緯35度40分30.7秒
東経139度32分16.2秒

予算
154億円(2008年度実績)[1][2]
* 運営公費金等 140億円
* 科研費等補助金 14億円
人数

常勤職員257人(2009年3月31日時点)[3]



  • 1人(台長)

  • 132人(研究教育職)

  • 34人(研究技師)

  • 90人(その他)


大学院生計58人(2009年3月31日時点)[3]



  • 25人(総研大)

  • 31人(東京大学)

  • 2人(東邦大学)


台長
常田佐久
設立年月日
1988年
前身
東京天文台(1888年)
上位組織
自然科学研究機構
所管
文部科学省
拠点
#施設を参照
ウェブサイト
https://www.nao.ac.jp/
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国立天文台(こくりつてんもんだい、英: National Astronomical Observatory of Japan, NAOJ)は、理論・観測の両面から天文学を研究する日本の研究所・大学共同利用機関である。大学共同利用機関法人自然科学研究機構を構成する研究所の1つでもある。


日本国外のハワイ観測所などいくつかの観測所や、三鷹キャンパスなどで研究活動をしており、総称として国立天文台と呼ばれる。本部は東京都三鷹市の三鷹キャンパス内にある。




目次






  • 1 概要


    • 1.1 歴史


    • 1.2 構成


    • 1.3 研究活動




  • 2 歴代台長


  • 3 組織


  • 4 沿革


  • 5 研究活動


    • 5.1 概説


    • 5.2 国家事業


    • 5.3 天文台としての活動


    • 5.4 一般との関わり


    • 5.5 将来への研究事業計画


    • 5.6 国際共同研究事業




  • 6 施設


    • 6.1 プロジェクト室


      • 6.1.1 Cプロジェクト


        • 6.1.1.1 日本国内


        • 6.1.1.2 日本国外


        • 6.1.1.3 人工衛星




      • 6.1.2 Bプロジェクト


      • 6.1.3 Aプロジェクト




    • 6.2 センター


    • 6.3 研究部


    • 6.4 関連プロジェクト




  • 7 東京天文台の改組


  • 8 公開行事


    • 8.1 三鷹キャンパス


    • 8.2 その他の観測所


    • 8.3 大学院教育


    • 8.4 公益活動


    • 8.5 社会人教育支援


    • 8.6 施設の公開




  • 9 文化財


  • 10 売店・食堂


  • 11 関連項目


    • 11.1 施設・機関


      • 11.1.1 設置運営者


      • 11.1.2 国内連携機関


      • 11.1.3 国際連携機関




    • 11.2 研究活動


      • 11.2.1 研究活動成果発表を実施する組織




    • 11.3 イベント


      • 11.3.1 公式イベント


        • 11.3.1.1 天体科学のイベント






    • 11.4 旧施設




  • 12 発行物


  • 13 参考資料


    • 13.1 法令・政令


    • 13.2 第三者評価資料


    • 13.3 オフィシャル・レポート(紹介資料)


    • 13.4 オフィシャル・ジャーナル(研究報告誌)


    • 13.5 その他




  • 14 人物


  • 15 脚注


  • 16 外部リンク





概要





1921年(大正10年)に完成した緯度観測所旧本館(現・水沢VLBI観測所、奥州宇宙遊学館)。国の登録有形文化財に登録。




1921年(大正10年)に完成した第一赤道儀室(三鷹キャンパス)。国の登録有形文化財に登録。





1930年(昭和5年)に完成した太陽望遠鏡(通称「三鷹のアインシュタイン塔」)。国の登録有形文化財に登録。





1903年(明治33年)にフランスで制作され輸入されたゴーチェ子午環。



歴史


近代日本における国立の天体観測所は、海軍水路寮が東京府麻布区飯倉(現:東京都港区麻布台)に設置した観象台から始まる[4]


別途、東京帝国大学(現在の東京大学)に星学科が設立された時、その附属の研究所として同じく麻布狸穴町に新たな観象台が設置され、1888年(明治21年)に、帝国大学附属東京天文台となる。東京の発展により、麻布付近は夜の灯火が増えて天体観測に適さなくなった。このため、当時は雑木林や田畑が広がる農村でありながら、甲武鉄道(現:JR中央本線)の開業により交通の便が良くなった三鷹への移転が決まり、1914年に工事が1始まった。当初は都会を離れることを嫌がっていた職員やその家族も、関東大震災(1923年)の被災により、三鷹周辺への移住が進んだ[5]


東京天文台は、名古屋大学空電研究所や文部省緯度観測所と移管統合され、文部省直属の研究機関である国立天文台となる。行政改革により、分子科学研究所など4つの国立研究所と統合再編及び法人化され、大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台になる。



構成


国立天文台は、東京都三鷹市に本部を置き、日本各地や国外にも観測施設を設置し観測業務並びに機器開発、装置運用を実施している。大学共同利用機関法人自然科学研究機構を構成する大学共同利用機関の一つであり、総合研究大学院大学の専攻研究科を構成する。



研究活動


代表的な観測研究施設として、ハワイ島にてすばる望遠鏡を設置・運用。その他、各観測研究所に設置された観測機器を用いた観測研究業務並びに天体観測機器開発、観測装置運用を実施。台内に社団法人日本天文学会、財団法人天文学振興財団の事務局がある。科学データとして国際的に評価の高い、理科年表の編纂を80年以上に渡り実施している。



歴代台長


国立天文台発足以降の、歴代台長(在任期間)の一覧



  • 初代 古在由秀(1988年 - 1994年)

  • 2代 小平桂一(1994年 - 2000年)

  • 3代 海部宣男(2000年 - 2006年)

  • 4代 観山正見(2006年 - 2012年)

  • 5代 林正彦(2012年 - 2018年)

  • 6代 常田佐久(2018年 - )


国立天文台長は、4年間の任期制であり、再選により2年の延長が可能である。


前身の一つである東京天文台の歴代台長(在任期間)の一覧



  • 初代 寺尾寿(1888年 - 1919年)

  • 2代 平山信(1919年 - 1928年)

  • 3代 早乙女清房(1928年 - 1936年)

  • 4代 関口鯉吉(1936年 - 1939年、前職:中央気象台技師、後職:文部省専門学務局長)

  • 台長事務取扱 福見尚文(1939年 - 1940年、東京天文台技師兼任)

  • 5代 関口鯉吉(1940年 - 1946年、再任)

  • 6代 萩原雄祐(1946年 - 1957年)

  • 7代 宮地政司(1957年 - 1963年)

  • 8代 広瀬秀雄(1963年 - 1968年)

  • 9代 古畑正秋(1968年 - 1973年)

  • 10代 大沢清輝(1973年 - 1977年)

  • 11代 末元善三郎(1977年 - 1981年)

  • 12代 古在由秀(1981年 - 1988年、国立天文台に改組)



組織



  • 研究教育活動を行う組織として、研究部を設置。

  • 研究業務活動を行う組織として、プロジェクト室を設置。

  • 基盤組織として、センターを設置。

  • 各種台内委員会を設置して運営を行っている。アカハラ対策、セクハラ対策、不正研究資金獲得防止委員会など。

  • また、外部監査も6年に一度、または新規プロジェクト毎に実施している。

  • 施設は後述する。



沿革





1880年、内務省地理局に導入されたトロートン&シムズ製天体望遠鏡。重要文化財。国立科学博物館の展示[6]




  • 1874年 - 12月9日、内務省地理寮量地課が御殿山でトロートン&シムズ製望遠鏡で金星日面通過観測を行う。


  • 1874年 - 海軍水路寮が東京府麻布区飯倉(現:東京都港区麻布台)に観象台を設置。


  • 1878年 - 東京大学理学部星学科観象台発足(現在の東京都文京区本郷)


  • 1888年 - 東京大学観象台、海軍省観象台、内務省地理局観測課天象部の三者が合併して、海軍省観象台の地に、東京天文台が置かれ帝国大学に属した。同時に、気象部門を中央気象台(現在の「気象庁」の前身)に分離。その後、内務省地理局(国土地理院の前身)の所掌事務であった天象観測及び暦書調製が文部大臣の管理となったことで、正式に東京天文台に移管される[7][8][9]


  • 1894年 - 明治東京地震で非常な被害を被った建物があったが、日清戦争が始まる時期で、改築も覚束ない状況で仮修理を行う[10][11]


  • 1899年 - 国際緯度観測事業により、世界に6箇所建設された国際緯度観測所の一つとして、岩手県胆沢郡水沢町(現在の奥州市水沢)に臨時緯度観測所発足。


  • 1909年 - 東京天文台の拡張のため、周辺の市街化が進み手狭な東京府東京市麻布区の敷地からの移転改築を迫られ、東京府北多摩郡三鷹村の土地を購入する[11][12]


  • 1914年 - 三鷹で建設工事を開始する[13]


  • 1920年 - 臨時緯度観測所が緯度観測所となる。


  • 1923年 - 関東大震災によって子午環が破壊される。


  • 1924年 - 震災に伴う被害のため予定より遅れて、東京天文台を東京府東京市麻布区から東京府北多摩郡三鷹村(現:東京都三鷹市)の現在地に移転する[14][15]


  • 1925年 - 理科年表刊行開始[16]


  • 1943年 - 戦中統制経済によって、紙やその他物資が不足し、理科年表の編纂を中止。


  • 1946年 - 理科年表の編纂を再開。


  • 1949年 - 名古屋大学空電研究所発足。


  • 1962年11月1日 - 埼玉県堂平山に堂平観測所設置。


  • 1988年 - 東京大学東京天文台・緯度観測所・名古屋大学空電研究所第三部門を改組統合、大学共同利用機関「国立天文台」発足。


  • 1997年 - ハワイ島ヒロ市に、日本初の海外研究施設であるハワイ観測所開設。


  • 1999年 - 口径8.2メートル反射式天体望遠鏡「愛称:すばる望遠鏡」のファーストライト。


  • 2000年 - 堂平観測所閉鎖。同観測所を都幾川村に移管。村はのちに町制施行され「ときがわ町星と緑の創造センター」となる。


  • 2002年 - チリアタカマ砂漠に、海外天体観測施設であるASTE望遠鏡設置。


  • 2004年 - 行政改革に伴う統合計画によって、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 「国立天文台」発足。


  • 2005年 - 沖縄県石垣市に一般公開型天体観測施設である石垣島天文台開設。


  • 2007年 - 世界天文年2009に向けて、三鷹キャンパス特別公開前夜祭を行う。


  • 2010年 - 乗鞍コロナ観測所閉鎖。


  • 2011年 - アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(アルマ望遠鏡)が科学観測を開始。



研究活動



概説


国立天文台は日本の天体科学研究における代表的な研究機関として、天文科学および天体物理学(関連項目:天体力学)に関連する分野の研究教育活動をほぼ網羅する。また、自然科学研究機構における天体物理学専門組織として、天文学に関連する講座を開設、大学及び大学院からの研究共同利用を受け入れている。大学共同利用機関として、各学校法人や研究室からの研究計画に基づく研究利用申請や研究者の受け入れによって、観測装置の共同開発を始め、施設利用の推進、さらに観測データの共同利用なども実施。



国家事業


国家事業として暦の編纂を行う「暦計算室」や日本標準時の決定および報時を行う「天文保時室」などの部署を設置し、独立行政法人産業技術総合研究所や独立行政法人情報通信研究機構などと並んでこの分野における国内の代表的機関の一つである[17]



天文台としての活動


国立天文台は日本以外の天文科学研究機関との国際共同研究活動も幅広く実施しており、最近の例としてはすばる望遠鏡やALMA望遠鏡などのプロジェクトが挙げられる。また、4D2Uプロジェクトや太陽系外惑星探査プロジェクトなど、従来の研究活動の枠組みを超えた新たな研究プロジェクトも推進。さらに、月探査計画「かぐや」では、月の精密観測に必要な機器開発を始めとして、測地学研究の観点から、地球朝夕や測地学観測でも研究活動を実施。スペースVLBIでは、国際的にも高い評価を得ている。


教育研究を実施する機関として、公開天文台との連携を初めとして、天体観測を行う観測者の育成などにも当たっている。観測データなどは、インターネットや各種媒体を通じて公開しており、教育研究事業を行う際には無償で提供することになっている。



一般との関わり


「開かれた天文台」として石垣島天文台などの設置・運用を支援し、日本における天文科学分野の広報・普及活動を推進。本部のある三鷹キャンパスや各観測所では特別公開や天体観望会を開催している。



将来への研究事業計画


今後のプロジェクトとして、より大口径かつ大規模な観測に対応した「超大型光学赤外線望遠鏡」の調査研究・開発研究が開始され、米国の30m鏡巨大望遠鏡計画であるTMT計画とも連携を深めつつある[18]



国際共同研究事業


日本の天文学研究の中心組織として、欧州や北米(アメリカ・カナダ)等と研究協力を行っている。2005年には韓国天文宇宙科学研究院(韓国)、中国科学院国家天文台(中国)、中央研究院天文及天体物理学研究所(台湾)とともに東アジア中核天文台連合(EACOA)を結成し、東アジア地域における天文学研究の発展に尽力することとなった。東アジア地区をはじめとする各国からの留学生の受け入れや海外研究機関への観測装置の利用促進・提供を実施し、各国の天文台の近代化に向けた活動を支援している。



施設


国立天文台の組織はプロジェクト室・センター・研究部の3つに大きく分かれる。各組織は以下の通りである。特に明記していないものは三鷹キャンパス内に組織・講座を設置。



プロジェクト室


プロジェクト室は、国立天文台が大学共同利用機関[19]として、各大学等の研究室からの利用申請に基づいて様々な観測や実験の実施や開発研究を円滑に行なうために設置された組織である。国立天文台が日本国内外にて運用を行う各観測所もプロジェクト室の一種となっている。


現在では、各フェーズ毎に、Aプロジェクト・Bプロジェクト・Cプロジェクトに分類する。それぞれ、Aプロジェクトが検討段階にある研究事業、Bプロジェクトが推進段階にある研究事業、Cプロジェクトが運用段階にある研究事業として区分することになっている。



Cプロジェクト


Cプロジェクトは、観測装置群の運用、観測業務、観測データ解析を行う施設である。観測業務は、国内外の研究者から提出される観測計画に基づき実施されており、観測データは観測計画を立てたグループ等に公開され、解析業務が行われることになっている[20]



日本国内



国立天文台の位置(日本内)

岡山

岡山



三鷹

三鷹



乗鞍

乗鞍



野辺山

野辺山



水沢

水沢





Red pog.svg 光学天文台 Orange pog.svg 太陽観測所 Blue pog.svg 電波観測所




水沢VLBI観測所(岩手県奥州市水沢)

日本における国際緯度観測事業開始の地であり、現在はVERA計画を中心に超長基線電波干渉法(VLBI)を用いた観測を推進している。石垣島天文台の運営も行っている。

太陽観測所 (東京都三鷹市)


太陽フレア望遠鏡を持つ。

太陽フレア望遠鏡

太陽磁場の観測を行う望遠鏡。三鷹キャンパスに設置されている。


乗鞍コロナ観測所 (長野県松本市安曇)

日本において国産かつ国内初のコロナグラフが設置された観測所。老朽化により2010年3月31日に閉鎖されたが、2011年度より自然科学研究機構乗鞍観測所として天文学に限らない科学研究の場として使用が再開された。






野辺山宇宙電波観測所 (長野県南佐久郡南牧村)

国内最大のミリ波望遠鏡を備えた観測所。


野辺山太陽電波観測所 (長野県南佐久郡南牧村)

太陽電波観測の草分けである観測所。


岡山天体物理観測所(岡山県浅口市鴨方町)

日本における光学スペクトル観測の発祥の地

天文シミュレーションプロジェクト

天文学専用スーパーコンピュータを備えた研究室。天文学におけるシミュレーション計算を専門的に行う組織。



日本国外



ハワイ観測所 (アメリカ合衆国ハワイ州ハワイ島)

世界最大級の一枚鏡による望遠鏡であるすばる望遠鏡を備えた観測所。

チリ観測所(チリ)


アタカマ砂漠に設置されたアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(アルマ望遠鏡)およびASTE望遠鏡を備えた観測所。



人工衛星


ひので科学プロジェクト 

「ようこう」の後継として打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)の開発研究ならびに運用を進める組織。宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の宇宙科学研究本部との共同プロジェクト。「ひので」の打ち上げ成功・観測開始に伴い、SOLAR-B推進室から観測所としての性格を持つ当プロジェクトへと移行した。



Bプロジェクト


Bプロジェクトは、観測装置の建設や部分的な運用を行う。観測装置が本格的稼動すると、Cプロジェクトへ移行し各観測業務並びに運用、解析業務を行うことになっている。




重力波プロジェクト推進室

重力波望遠鏡の研究開発を進める組織。


TMT推進室

直径30mの可視光赤外線望遠鏡TMTに向けた研究開発を進める組織。



Aプロジェクト


Aプロジェクトは、研究開発段階にあるプロジェクトを推進する。




JASMINE検討室

将来打ち上げる赤外線探査による位置天文衛星計画の技術開発、ならびに検討を進める組織。

赤外線探査による位置天文衛星(JASMINE)。


京都大学理学系研究科宇宙物理研究室、宇宙航空研究開発機構との共同プロジェクト。





太陽系外惑星探査プロジェクト室

現在、国内では唯一の太陽系外惑星探査に関する公的研究組織。

RISE月惑星探査検討室

月探査機「かぐや」・「おうな」・「おきな」の観測装置のうち、惑星測地学探査に必要な機器類の開発研究並びに運用を行った。現在は検討中のSELENE-2に向けた技術開発を行っている。



センター


センターは、国立天文台の基盤となる観測業務活動を支援する組織である。所在地は特に明記していないものは三鷹キャンパス内にある。



天文データセンター

天文科学関連データベースの国内外との連携センター(各国中央天文台との協定の締結によって、天文学データベースの相互利用の推進を実施)。

データベース天文学推進室

世界中に分散する各種天文科学データベースを統合化し、波長を越えたデータ解析を可能にするJVOプロジェクトの開発研究を実施。





先端技術センター

次世代の天体観測機器についての開発研究を手がけており、天体観測装置開発センターの役割を担う(各観測所ごとに装置開発を行う。大型機器は三鷹キャンパスで担当している)。

天文情報センター

天体科学に関連する広報普及活動を担当し、観測成果や天体現象などの情報を対外的に発信している。彗星や小惑星の発見など天体科学に関する情報を受付け、観測研究成果の確定作業を行っている。

広報室

天体科学に関連する広報を実施。

普及室

天体科学関連の教育、技術等の普及を実施。

暦計算室

暦の算定ならびに提案を実施。

図書係

国立天文台図書室の管理を実施。

出版係

国立天文台の発行する文書類の発行を実施。





研究部


研究部は、国立天文台の職員が研究テーマに応じて、いずれかの部署にて配属され研究活動を行う組織である。よって、すべての職員はいずれかの研究部に所属している。研究の対象は電波天文学から赤外線天文学さらに高エネルギー天文学、そして重力波天文学までを行うことを目的に設置されている。なお、現在の研究部の構成は、その前身となった各天文台(東京大学附属東京天文台・緯度観測所・名古屋大学空電研究所)の流れを汲んだものとなっている。所在地は以下に示す。



光赤外研究部

光赤外天文学の観測研究の実施(三鷹キャンパス、岡山天体物理観測所、ハワイ観測所)。

電波研究部

電波天文学の観測研究の実施(三鷹キャンパス、野辺山地区、水沢VLBI観測所)。

太陽天体プラズマ研究部

太陽等の天体プラズマの観測研究の実施(三鷹キャンパス、野辺山地区)。

理論研究部

天文学の理論的研究を行う(三鷹キャンパス)。


研究部の位置づけは、観測波長及び研究対象のいずれかで区分している。光赤外研究部は赤外線〜可視光までの分野。電波研究部は、超短波〜サブミリ波までの領域。太陽天体プラズマ研究部は、太陽及び天体現象が放出するプラズマを対象とした観測的・理論的研究。理論研究部では、天文科学分野における基礎的理論研究を中心に展開している。



関連プロジェクト


関連プロジェクトの位置づけは、天文台活動を実施するに辺り、直接的には開発研究関連予算として計上していないが、財団法人天文学振興財団や地方自治体の教育関係組織との連携で行われる事業のこと。例えば、太陽周期活動望遠鏡計画の場合には、その研究実施主体が京都大学理学系研究科であるなど。



JVOプロジェクト

各国の中央天文台にて運用が行われている天文科学専用データベースをインターネットによって統合するヴァーチャル天文台プロジェクト。波長の壁を超えて統一的に解析できる新しい天文学研究基盤ソフトウエアの開発研究を目指している。

太陽周期活動望遠鏡計画

岡山天体物理観測所のマグネトログラフや三鷹の太陽フレア望遠鏡で培った観測技術を用いて、より精度の高い太陽活動を捉える将来の望遠鏡開発ならびに観測計画。国立天文台と京都大学大学院理学系研究科、独立行政法人情報通信研究機構との共同プロジェクト。



東京天文台の改組


東京天文台の改組はそれまで多くの研究費が旧帝国大学等に集中するという批判が高まったため取られた措置である。東京大学の組織であった東京天文台は、大学から独立し広く開かれた研究所となる国立天文台と大学において教育研究指導を推進する東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターに改組された。他には、東京大学附属宇宙航空研究所が、宇宙科学研究所へ改組された例や、名古屋大学プラズマ研究所及び、広島大学核融合理論研究センター、京都大学ヘリオトロン核融合研究センターが統合されて核融合科学研究所が発足した例などがある。



公開行事



三鷹キャンパス



国立天文台三鷹キャンパス常時公開 

(年末年始(12月28日〜1月4日)を除く10:00〜17:00(入場は16:30まで))

国立天文台三鷹キャンパス特別公開 

(例年は、10月中旬から下旬にかけての休日を利用して行う)

国立天文台定例天体観望会 

(第2週の金曜日、第4土曜日)


4D2Uドームシアター公開 

(第2土曜日の前日および第4土曜日)



その他の観測所


各観測所毎に実施している。



  • 水沢VLBI観測所(施設公開、天体観望会)

  • 野辺山地区(施設公開、特別公開「研究成果公開、各種イベント」)

  • 岡山天体物理観測所(施設公開、天体観望会)

  • ハワイ観測所(施設公開)



大学院教育


総合研究大学院大学を構成する機関として、大学院博士5年一貫課程・博士後期課程の教育を行っている。



公益活動


各観測装置から得られた画像や観測データは、教育事業などの私的利益を伴わない用途において無償公開を実施。営利目的の場合には申請を要する。また、各観測所においては、公開事業によって観測成果や観測機器の公開を実施。詳細は、各観測所の項参照。



社会人教育支援




三鷹ネットワーク大学 


三鷹市内に所在する学術機関、産業界、三鷹市との協力により、生涯教育活動の支援を推進中。国立天文台は三鷹ネットワーク大学への直接的な運営には関知していないが、講師派遣や教材提供などで協力関係にある。



施設の公開


各観測所では一部施設内を一般公開しており見学できる。三鷹では天文台歴史館や展示室など日本の天体観測や天文台の歴史、近況などがわかるように見学コースが設けられている。他、国立天文台では現在、植生保全に取り組んでおり、三鷹の敷地内の一部では立ち入りや動植物の採取を禁止している。そのため現在の三鷹周辺ではほとんど見られない手付かずの自然を見られ、天文台移転前の三鷹の面影を垣間見ることができる。



文化財


重要文化財

  • 子午儀 - レプソルド子午儀
    • 本体、支持機構、集心儀、反転機、附 水準器


登録有形文化財


  • 旧臨時緯度観測所本館 - 現在は木村榮記念館として運営を行っている

  • 旧臨時緯度観測所眼視天頂儀室

  • 旧臨時緯度観測所眼視天頂儀目標台および覆屋

  • 旧緯度観測所本館

  • 太陽分光写真儀室 - 通称、太陽塔望遠鏡、アインシュタイン塔

  • 大赤道儀室

  • 第一赤道儀室



売店・食堂


三鷹キャンパスのコスモス会館に東京大学生協の天文台支店がある。



関連項目







施設・機関



  • 研究所 - 天文学 - 天文台 - 公開天文台一覧


設置運営者



  • 文部科学省


  • 自然科学研究機構

    • 核融合科学研究所

    • 分子科学研究所

    • 基礎生物学研究所

    • 生理学研究所





国内連携機関



  • 宇宙航空研究開発機構

  • 情報通信研究機構

  • 産業技術総合研究所

  • 理化学研究所

  • 海上保安庁

  • 国土地理院

  • 東京大学

  • 総合研究大学院大学



国際連携機関




  • 国際天文学連合(各国天文学会の連合体)

  • アメリカ国立電波天文台

  • スミソニアン天体物理観測所

  • ヨーロッパ南天天文台

  • スペースガード



研究活動




  • 位置天文学・天体力学・天体物理学


  • 暦 - 日本標準時

  • 天体観測

  • 理科年表



研究活動成果発表を実施する組織



  • 日本天文学会

  • 日本惑星科学会

  • 日本物理学会

  • 応用物理学会

  • 物理教育学会




イベント



公式イベント


  • スター・ウィーク〜星空に親しむ週間〜


天体科学のイベント


  • 天文学や天体観測を参照。その他は、国立天文台メールニュースや天文雑誌、気象情報などを参照。


旧施設



  • ときがわ町星と緑の創造センター(旧堂平観測所)


発行物



  • 1953年10月29日、東京天文台創設75年記念の切手が1種(10円)、発行された。

  • 1960年10月19日、岡山天文物理観測所開所記念の切手が1種(10円)、発行された。



参考資料



法令・政令




  • 文部科学省、高等学術研究審議会資料


  • 日本学術会議、第3部資料

  • 省庁間連絡会議、電子行政推進 国・地方自治体協議会、電子政府の総合窓口



第三者評価資料


  • 文部科学省 国立天文台 第3者評価資料


オフィシャル・レポート(紹介資料)




  • 大学共同利用機関法人自然科学研究機構・公式サイト 各種パンフレット


  • 自然科学研究機構国立天文台・公式サイト 各種パンフレット


  • 財団法人天文学振興財団・公式サイト 各種パンフレット


  • 国立大学法人総合研究大学院大学・公式サイト 各種パンフレット


  • 社団法人日本天文学会・公式サイト


  • 日本惑星科学会・公式サイト


  • 日本惑星協会・公式サイト・Planetary Report

  • 日本公開天文台協会

  • 日本博物館協議会

  • 日本プラネタリウム協議会



オフィシャル・ジャーナル(研究報告誌)


  • 国立天文台欧文報告


その他


  • 宇宙図


人物


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脚注


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  1. ^ 自然科学研究機構 予算 2010-04-21 閲覧


  2. ^ 自然科学研究機構 外部資金 2010-04-21 閲覧

  3. ^ ab国立天文台年次報告〔和文〕(第21冊) 2008年度 Ⅲ.機構 210-04-18 閲覧


  4. ^ 天文学において、『日本書紀』に「占星台」の記述がある。また、現在の東京都台東区には「浅草天文台」が設立された記録がある。浅草天文台は、江戸幕府の天文方が、私費を集めて設立した民間の天文台。その後、「明治政府」が欧米の天文学に倣い、東京帝国大学(当時は、理科大学)に設立したのが、「観象台」である。「浅草天文台」は、明治2年3月15日に発せられた太政官達により、東京府に属せられると同時に廃止された。司天台は、京都の朝廷に勤める天文方が、朝廷から支援を受けて設立された天文台。それぞれの目的は、暦の編纂であった。なぜならば、当時の暦は太陰太陽暦を採用していたため、暦と実際の季節の間にずれが生じやすかったためである。


  5. ^ 【東京探Q】なぜ三鷹に国立天文台?昔は農村 暗闇が好適/貴重な施設 見学も可能『読売新聞』朝刊2018年10月29日(都民面)。


  6. ^ トロートン天体望遠鏡 国立科学博物館


  7. ^ 内閣官報局, 編纂.「明治21年文部省告示第2号」、『官報』明治第1477号、日本マイクロ写真、東京、1888年6月4日、 25頁、 NDLJP:2944714。


  8. ^ 中桐正夫「東京天文台100周年記念誌作成時の資料-その1- (PDF) 」 、『アーカイブ室新聞』第346号、国立天文台、東京都三鷹市、2010年6月9日、 1頁、2014年1月2日閲覧。


  9. ^ 新美幸男「日本の標準時 (PDF) 」 、『天文月報』第90巻第10号、日本天文学会、東京都三鷹市、1997年10月、 473-474頁、 ISSN 0374-2466、 NAID 10002142171、 .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
    NCID AN00154555、2013年12月29日閲覧。



  10. ^ 河合章二郎「帝国の天文台に就て (PDF) 」 、『天文月報』第12巻第9号、日本天文学会、東京市、1919年9月、 137-146頁、 ISSN 0374-2466、
    NCID AN00154555、NDLJP:3303990、2014年1月9日閲覧。


  11. ^ ab河合章二郎 1919, p. 140, §5.


  12. ^ 日本天文学会, 編纂.「三鷹村新東京天文台(三) (PDF) 」 、『天文月報』第18巻第10号、日本天文学会、東京府北多摩郡三鷹村、1925年10月、 150-153頁、 ISSN 0374-2466、
    NCID AN00154555、NDLJP:3304063、2014年1月9日閲覧。



  13. ^ 河合章二郎 1919, p. 141, §6.


  14. ^ 日本天文学会, 編纂.「雑報 東京天文台の移転 (PDF) 」 、『天文月報』第17巻第7号、日本天文学会、東京市、1924年7月、 111頁、 ISSN 0374-2466、
    NCID AN00154555、NDLJP:3304048、2014年1月12日閲覧。



  15. ^ 内閣印刷局, 編纂.「大正13年文部省告示第362号」、『官報』大正第3617号、日本マイクロ写真、東京市、1924年9月11日、 280頁、 NDLJP:2955765。


  16. ^ 日本天文学会, 編纂.「雑録 理科年表 (PDF) 」 、『天文月報』第18巻第3号、日本天文学会、東京府北多摩郡三鷹村、1925年3月、 39-41頁、 ISSN 0374-2466、
    NCID AN00154555、NDLJP:3304056、2014年1月9日閲覧。



  17. ^ 世界時を決定するための国際地球回転・基準系事業にVLBI解析センターとして参画しており、原子時計群の運転やGPS衛星を活用した高精度国際時計比較を行ったり、国際原子時の運用に寄与している。


  18. ^ 現在の所、すぐに予算がつくわけではないため、観測利用等でTMT計画などへの参加も含めた検討も行っている。しかしながら、将来に向けて大型複合光学式反射望遠鏡の開発研究は必要であり、そのために、超軽量鏡をはじめとして、技術開発を進める予定である。同様のプロジェクトとして、ヨーロッパ南天天文台 でも大型望遠鏡計画(E-ELT)の準備が推進されている。


  19. ^ 大学共同利用機関とは、大学(学校法人)では保有(もしくは設置・運用)の難しい大型機器等を開発・設置・運用することによって、詳細かつ精密な研究を実施できるようにした研究機関のことである。


  20. ^ 一般に対しては、報道機関による取材や観測所の公式サイトを通じて公開される。各観測所の一般公開では、これまでの観測成果の公開を実施。特別公開では、各観測所の業務内容や研究成果、さらにはホットな研究トピックスを紹介することで、研究業務の理解を深める活動を実施。




外部リンク



  • 国立天文台

  • 日本天文学会

  • 総合研究大学院大学











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